閘門での事故の影響で貨物船などの大型船が通行できなくなっているモーゼル川の
早期復旧を、鉄鋼業界が要求している。現在予想されている3月末の復旧では業務
に大きな支障が出るためだ。モーゼル水系に工場を持つ鉄鋼大手シュタール・ホー
ルディング・ザール(SHS)の広報担当者は『フランクフルター・アルゲマイネ』
氏に、「もっと迅速に行われなければならない」と明言。同地の業界団体ザール鉄
鋼連盟は「物流上の大惨事だ」として、復旧作業に全力を投じるよう要求した。
モーゼル川では8日、下流のミューデンにある閘門に貨物船が衝突し、門扉が全面
的に破損した。ミューデンには大型船用の閘室が1つしかないことから、モーゼル
水系を貨物船が通行できなくなっている。
SHSは原料・製品輸送の80%を船舶と鉄道に依存。モーゼル川と支流のザール川を
通しては石炭、鉱石、くず鉄を調達するとともに、鉄鋼製品を顧客企業向けに輸送
している。現時点で生産に影響は出ていないものの、しわ寄せが出るのは時間の問
題だ。早期復旧に向けて全面協力する意向で、当局などと協議を進めている。
独河川交通全国連盟(BDB)によると、モーゼル川のドイツ領域には閘門が計10カ
所ある。そのうち大型専用の閘室を2つ備えるのは3カ所に過ぎず、ミューデンを含
む他の7カ所には1つしかない。これら7閘門のいずれかで大きな事故が起これば、
モーゼル水系全体が航行不能になることは以前から指摘されていた。国は全閘門の
閘室を2つにする計画を20年以上前に策定したにもかかわらず、プロジェクトの進
展は極めて遅い。
ミューデンの閘門事故を受け、モーゼル水系では現在、貨物船と客船が計70隻、立
ち往生している。モーゼル・ザール・ラーン水利・水運管理局(WSA)は年末まで
にライン川に移動できるようにする意向で、現在、対策を練っている。
モーゼル水系はフランスや西南ドイツとオランダ、オーストリアを結ぶ欧州の重要
な国際河川。貨物輸送量は昨年およそ600万トンに上った。