化学大手エボニックが組織再編、「スペシャルティケミカルでは差別化 に不十分」

特殊化学大手の独エボニックは13日、抜本的な組織再編計画を発表した。経営をスリ
ム化するとともに、企業のプロフィールを明確化する狙い。これまでの4部門(ディ
ビジョン)体制を2025年4月1日付で2部門(セグメント)体制に改める。クリスティ
アン・クルマン社長は「当社は近年、ポートフォリオの質を大幅に向上させてきまし
た。しかし現在は、スペシャルティケミカルにのみ注力するだけでは会社を前進させ
るには十分でなくなってきました。その言葉自体、曖昧な意味しか持たなくなり、お
客様や資本市場の視点から見ても十分に差別化を行えなくなってしまいました。その
ため、今後はソリューションとイノベーション主導型ビジネス、およびテクノロジー
と効率主導型ビジネスを2本柱に据え、それぞれの強みを生かして経営の差別化を図
ります」と狙いを語った。
同社はこれまで取扱製品の種類に応じ、 「ニュートリション&ケア」「スペシャル
ティアディティブス」「スマートマテリアルズ」「パフォーマンスマテリアルズ」の
4部門体制で事業を展開してきた。来春からはこれを、イノベーション主導型のビジ
ネスモデルを特徴とする「カスタム・ソリューション」と、テクノロジー・効率主導
型の「アドバンスド・テクノロジー」の2セグメント体制に移行する。両セグメント
とも売上高は約60億ユーロとなる見通し。
カスタム・ソリューションは、特定のニッチ市場で顧客密着型の事業を展開し、カス
タマイズされたソリューションを提供。価格設定の主導権を握る。成長ドライバーと
しての役割を担い、利益の成長に強く貢献する。塗料・コーティング用添加剤、化粧
品・医薬品業界向け製品事業が含まれる。買収を積極的に行う意向だ。
アドバンスド・テクノロジーでは世界的に高いコスト競争力を持つ事業を行う。資金
供給的な役割を果たし、キャッシュフローを生み出す。高機能ポリマー、過酸化水素
製品事業などが含まれる。
組織のスリム化に向けては管理職を大幅に削減し、意思決定と事業プロセスを迅速化
する。26年末までにマネジメントレベルの階層数を平均10段階から最大6段階までに
削減するとともに、3,000以上の組織単位の廃止する計画だ。従業員2,000人の削減を
予定している。年コストを4億ユーロ圧縮する。
同社はこのほか、事業や保有する工業団地の売却も計画している。これを含めると従
業員3万2,000人のうち7,000人が削減されることになる。

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