独鉄鋼業界団体シュタールが22日に発表した2024年の国内粗鋼生産高は前年比
5.2%増の3,723万4,000トンとなり、3年ぶりに拡大へと転じた。ただ、3年連続で
4,000万トンを割り込むなど水準自体は依然として極めて低い。ケルスティンマリ
ア・リッペル専務理事は、景気低迷の中国から欧州市場に大量の鉄鋼製品が流入し
ているうえ、電力コスト高がドイツ企業の競争力を弱めていることを指摘。ドイツ
政府と欧州連合(EU)の欧州委員会に有効な対策を速やかに実施するよう呼びかけ
た。2月の連邦議会選挙で成立する次期政府に対しては、送電料金負担を引き下げ
る助成措置を政権樹立後100日以内に導入することを求めている。
国内市場は低迷が続いており、24年の鉄鋼販売量は7%減の約2,700万トンに後退。
3年連続で落ち込んだ。自動車など顧客産業の不振が反映されている。17年に比べ
ると市場規模は約3分の1縮小したという。
24年の国内粗鋼生産の内訳をみると、高炉鋼は3.3%増の2,641万7,000トン、電炉
鋼は10.2%増の1,081万7,000トンに拡大した。銑鉄は2.9%増の2,432万9,000ト
ン、熱間圧延鋼材は3.0%増の3,160万8,000トンとなっている。
12月の粗鋼生産高は274万4,000トンで、同年同月を4.1%上回った。高炉鋼が5.9%
増の222万8,000トンに拡大。電炉鋼は3.1%減の51万6,000トンに後退した。銑鉄は
5.4%増の204万5,000トン、熱間圧延鋼材は7.5%減の209万1,000トンだった。