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英離脱後の移行期間めぐる協議が不調、条件で「相当な相違」

2018年2月12日発行 No.186号

EUと英国の離脱交渉で新たな焦点となる「移行期間」をめぐる初の協議が6日から9日にかけて行われたが、EU側の条件に英国が応じず、不調に終わった。EUのバルニエ首席交渉官は双方の主張に「相当な相違」があると指摘。溝が埋まらなければ移行期間の設定を認めない方針を打ち出し、英国を強くけん制した。

「移行期間」の設定は英国側の要求に基づくもの。英国のEU離脱直後に双方の関係が激変し、貿易などに大きな影響が及ぶのを避けることや、英国とEUの自由貿易協定(FTA)締結までの時間を稼ぐのが目的だ。英国は2019年3月末に離脱することになっているが、同期間中はEU単一市場にとどまり、実質的に現状維持となる。EU側は移行期間の期限を2020年12月末とする方針だ。

英国を除くEU27カ国が1月末に採択した移行期間をめぐる交渉の指令によると、英はEU離脱後も移行期間中はEU単一市場と関税同盟にとどまるが、同期間中はEUの意思決定に参加できず、EU予算拠出の義務を負い、EUの法令が適用され、EU司法裁判所の管轄下に置かれる。EU内の人の自由な移動を認めるという原則にも従わなければならない。また、移行期間中に新たに成立したEU法令に従う義務を負う。

さらに欧州委員会は7日、英国が移行期間中にEUのルールに違反した場合、EU司法裁判所での手続きを経ずに、EU単一市場へのアクセスを制限する制裁措置を発動する仕組みを設けることも明らかにした。

バルニエ首席交渉官が9日の協議終了後の記者会見で明らかにしたところによると、英国との主な意見の相違は◇EU市民の権利◇ルール違反の際の制裁◇意思決定への参加◇EUの新法令適用――など。

EU市民の権利をめぐっては、EUは移行期間中に英国に入った他の加盟国出身者に永住権を認めるよう要求しているが、英国はEU離脱前に入国した人に限って認めると主張。意思決定に関しては、英国は移行期間中も司法、内務問題に関するEUの協議への参加を求めている。また、移行期間中に制定された法令の適用対象となることも拒んでいる。

英国が特に反発しているのは、ルール違反に対する制裁。英政府のデービスEU離脱担当相はEUが同方針を打ち出したことを「無礼だ」と強い調子で非難した。

これに対してバルニエ首席交渉官は「ルールを順守するための仕組みを設けるのは、国際的なスタンダードだ」と反論した上で、これを含むEU側の条件に英国が応じなかったことに「驚いた」とコメント。移行期間の設定は「当然のものではない」と述べ、「相当な意見の相違」が解消されなければ交渉を打ち切り、移行期間を設定しないこともあり得るとの見解を示した。

EUは12月中旬に開いた首脳会議で、英国と進めてきた離脱条件に関する交渉に「十分な進展」があったと判断し、通商など将来の関係をめぐる第2段階の交渉に入ることを承認。まず移行期間に関する協議を開始することを決めた。

離脱交渉の結果は欧州議会などの承認を得なければならず、その手続きに時間がかかることから、18年10月をめどに交渉を妥結させる必要があり、協議の時間は限られている。英政府は3月中に移行期間に関する交渉を完了し、通商協議に入りたい考えだ。バルニエ首席交渉官は2月26日に開かれる予定の次回の交渉で「これらの相違が解消されることを望む」と述べ、英国側に歩み寄りを求めた。

一方、バルニエ首席交渉官は5日、EUと英国の将来の関係をめぐり、英政府がどのような関係を築こうとしているかについて、早急に明確な方針を示す必要があると指摘した。コレに関して英国側は当初、9日に何らかの提案を行う予定だったが、政府内の意見が依然として分かれ、調整がつかなかったため、同問題に関する進展もなかった。

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