ウクライナ問題めぐる対ロ経済制裁、7月末まで再延長

EU加盟国は12月18日に開いた大使級会合で、ウクライナ情勢を受けたロシアに対する経済制裁を6カ月間延長することで合意した。2016年1月末に迫った期限を7月末まで延ばす。

EUはロシアによるクリミア併合を受け、14年8月に1年間の期限付きで対ロ制裁を導入。その後、昨年2月に成立したウクライナ東部での停戦合意をロシアが完全に履行するまで制裁を解除しない方針を確認し、6月には7月末で期限切れとなる経済制裁を6カ月延長していた。

昨年11月のパリ同時テロを受け、EU内ではフランスなどを中心に、過激派組織「イスラム国(IS)」の掃討に向けたシリア空爆でロシアとの連携強化を模索する動きも出ている。しかし、ウクライナ東部で依然として政府軍と親ロシア派武装勢力の散発的な戦闘が続いているため、対ロ制裁の再延長を決めた。

ロシア外務省はEUの決定を受けて声明を発表。「EUは国際テロなど緊急の課題に対処するための建設的な協力関係を構築しようとせず、近視眼的な制裁ゲームに固執している」と指摘し、EU側の対応を強く批判した。

一方、欧州委員会は18日、ウクライナとジョージア(グルジア)に対し、16年夏からEU諸国へのビザ(査証)なし渡航を認める方針を決めた。また、16日にブリュッセルで開いたEUとウクライナの首脳会議では、予定通りに16年1月1日付で自由貿易協定(FTA)を発効させる方針を確認した。ロシアに対する経済制裁を再延長する一方、同国と対立するウクライナやジョージアとの連携強化を進めることで、今後ロシアがEUへの反発を強める可能性もある。

上部へスクロール