欧州委が自動車排ガス規制で権限強化、メーカーの直接監視など検討

独フォルクスワーゲン(VW)が排ガス規制逃れのため一部のディーゼルエンジン車に違法ソフトを搭載していた問題を受け、欧州委員会が自動車メーカーに対する規制強化策を検討しているもようだ。英紙フィナンシャル・タイムズ(FT)によると、欧州委は不正な規制逃れを防ぐため、自らの権限でメーカーに追加の試験を命じたり、不正が発覚した場合に罰則を科すことができるシステムの導入などを近く提案する方針という。

EUは排ガス試験時に窒素酸化物(NOx)などの有害物質を減らすための「ディフィート・デバイス」と呼ばれる装置やソフトウェアの使用を禁止しているが、VWのケースでは米当局の指摘で不正が発覚した経緯がある。欧州委はこうした現状を踏まえ、各国当局による従来の監視体制では不十分と判断。自らの権限を拡大してメーカーに対する監視を強化する方針を固めたもようだ。

FT紙によると、欧州委はこのほか、排出ガスを制御するあらゆるソフトウェアについての情報開示をメーカーに義務づけることを検討している。米国では排出ガスに影響を与える可能性のあるソフトウェアについて、技術情報をすべて米環境保護局(EPA)に開示することが義務づけられているが、VWはディフィート・デバイスとは別にエンジンを暖気するためのシステムを搭載しながら開示義務を怠っていた。

欧州委はさらに、各国当局の権限も強化し、重大な欠陥が見つかった場合、最初に型式認可を付与した国以外の加盟国の当局がリコールを命じやすくする仕組みの導入も検討しているという。

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