仏通信大手オレンジ、ブイグと合併交渉

仏通信最大手のオレンジと同携帯電話サービス3位のブイグ・テレコムは5日、合併交渉を開始したと発表した。実現すれば仏携帯電話サービス市場は3社体制に再編されることになる。

オレンジは声明で、交渉は始まったばかりで、合意に至る確証はないとしている。協議の内容は不明だが、オレンジがブイグ・テレコムを買収する方向で調整しているもよう。国内のメディアは買収額が100億ユーロ程度に上り、現金と株式交換を組み合わせた方式で行われると報じている。

フランスの携帯電話サービス市場はオレンジ、ニュメリカブル―SFR、ブイグ・テレコム、フリー・モバイルの4強体制。フリーが2012年に低料金を掲げて参入してから価格競争が過熱している。

業績が悪化しているブイグ・テレコムは打開策として、SFR買収に乗り出したが、争奪戦で仏ケーブルテレビ大手ニュメリカブルに敗れ、計画を断念。これを受けて親会社のブイグは、ブイグ・テレコム存続を断念し、昨春にオレンジとの合併交渉を開始したが、条件で折り合わず協議を打ち切った経緯がある。直後に2位ニュメリカブル―SFRの親会社であるアルティスがブイグ・テレコム買収に乗り出したが、ブイグが拒否して実現に至らなかった。

仏政府は携帯電話サービス市場の再編について、4社から3社に減って健全な競争が損なわれるとして難色を示してきた。ブイグがアルティスによる買収を拒否したのも、政府が認可しない恐れがあるとの判断が働いた。

ただ、ここにきて政府は過剰な価格競争が業界の体力を奪うことを懸念し、柔軟な姿勢に転じており、マクロン経済・産業・デジタル相は12月、統合を容認する構えを示していた。オレンジとブイグが再び合併に乗り出した背景には、こうした事情もあるとみられる。

ただ、EUの欧州委員会は競争政策上の観点から域内携帯電話サービス市場の再編に慎重な姿勢を堅持しており、両社が合併で合意してもEUの承認を取り付けることができるかどうか不透明な情勢だ。

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