禁煙室での勤務を被用者は要求できるか

雇用主はたばこを吸わない被用者をたばこの害から守るために必要な措置を講じなければならない。これは職場政令(ArbStaettVO)5条1項に明記された義務である。では被用者はこれを根拠に、禁煙室での勤務を要求することができるのだろうか。この問題をめぐる係争で最高裁の連邦労働裁判所(BAG)が10日に判決(訴訟番号:9 AZR 347/15)を下したので、ここで取り上げてみる。

裁判はヘッセン州にあるカジノのディーラーが雇用主を相手取って起こしたもの。同ディーラーは週2回、喫煙ルームでの勤務を義務づけられていた。これを不服としてもっぱら禁煙ルームでの勤務にするよう要求したところ、拒否されたため提訴した。

原告は1審と2審で敗訴。最終審のBAGも同様の判断を示した。判決理由でBAGの裁判官は、人が自由に出入りできる職場では業務と労働の性質が許す限りにおいて被用者をたばこの害から守る措置を取ればよいとしたArbStaettVO5条2項の規定と、カジノは禁煙ルールの対象にならないとした地元ヘッセン州の非喫煙者保護法(HessNRSG)2条5項5の規定を指摘。被告雇用主は喫煙ルームに換気機能付きの空調設備を設置しており、たばこの煙による健康被害を最小限にとどめる措置を取っているとの判断を示した。

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