SGL―中国化工集団が買収か―

独炭素製品大手SGL(ヴィースバーデン)の買収に中国化工集団が関心を示しているとの観測が浮上している。経済誌『マネージャー・マガチン』が社内情報として5月27日に報じたもので、中国化工の任建新社長はすでにSGLのユルゲン・ケーラー最高経営責任者(CEO)および筆頭株主のズザンネ・クラッテン氏と協議を行ったという。独ロボット大手クーカに対し美的集団が株式公開買い付け(TOB)方針を打ち出すなど、最近は中国企業による欧州有力企業の買収の動きが活発化。中国化工はその筆頭格で、伊タイヤ大手ピレリを傘下に収めたほか、現在は射出成型機械製造の独クラウス・マッファイ、スイスの農業化学大手シンジェンタの買収手続きを進めている。

SGLは黒鉛電極の価格下落を受けて業績が悪化しており、昨年5月には組織再編の一環で製鋼用黒鉛電極などを手がける「パフォーマンス製品(PP)」部門の分社化方針を打ち出した。これと並行して同部門に関心を持つ競合や投資会社と交渉を進めている。

同誌によると、中国化工は可能であればSGLグループ全体を買収したい意向だが、その他の選択肢も排除しない姿勢。SGLのPP部門は中国化工が2011年に買収したノルウェーの黒鉛電極大手エルケムの強化に役立つ。

SGLの広報担当者はメディアの問い合わせに「投資家との協議の対象となっているのは黒鉛電極事業だけだ」と回答し、グループ全体の身売りはないとの立場を示唆した。交渉先の企業は明らかにできないとしている。

クラッテン氏は自動車大手BMWの大株主で、BMWが取り組む車両軽量化を支援するために炭素繊維製品の有力企業でもあるSGLの筆頭株主となった。投資会社スキオンを通してSGL株27.46%を保持している。SGLにはこのほか、BMWが18.44%、フォルクスワーゲンが9.88%出資している。

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