英国のオズボーン財務相は4日、法人税の減税を検討していることを明らかにした。英のEU離脱によって企業が国外に流出するのを防ぐのが狙いで、法人税率を15%以下に引き下げたい考えだ。
法人税の減税策は、オズボーン財務相が英フィナンシャル・タイムズに明らかにしたもの。インタビュー記事が掲載された翌日の4日に、報道内容が事実であることを確認した。
英国の法人税率は現在20%。すでに財務省は2017年に19%、20年に17%まで引き下げる方針を打ち出していた。オズボーン財務相は時期を明らかにしていないものの、さらに税率を引き下げることで、英国がEU離脱後も「ビジネスにオープンな国」であり続けることを示したいとしている。
EUで税制は共通政策の枠外にあり、加盟国が独自の判断で法人税率を決めることができる。英国が15%以下に引き下げると、先進国で最低水準となり、低税率で多くの多国籍企業を誘致しているアイルランドの12.5%に近づくことになる。
ただ、オズボーン財務相が9月の保守党党首選を経て発足する新政権で留任するかどうかは微妙で、減税実現は不透明な情勢だ。また、すでに英国の法人税率がG20諸国で最低水準にあることや、さらなる引き下げで他のEU加盟国も減税に動く可能性があるため、減税の効果は一時的で、EU離脱を嫌う企業の流出を防ぐには不十分との見方もある。
さらに、財務相には法人税引き下げをちらつかせることで、減税競争が起きることを警戒するEUに揺さぶりをかけ、離脱交渉や離脱後の貿易協定をめぐる交渉を有利に進めたいという思惑があると指摘する声も出ている。