英中銀、銀行の資本積み増し規制を凍結

英中央銀行のイングランド銀行(BOE)は5日、国内銀行に資本積み増しを求める規制の実施を凍結すると発表した。銀行は17年3月までの積み増しを義務付けられていたが、英国のEU離脱決定で金融システムが動揺し、貸し渋りに走る恐れがあることから、延期を決めた。

BOEは3月、景気悪化に備えた「カウンター・サイクリカル・資本バッファー(CCB)」と呼ばれる自己資本の積み増しを決定。国内銀行にCCB比率をゼロ%から0.5%に引き上げることを求めた。英経済の成長を見込んだものだった。

しかし、先の国民投票でEU離脱が決まり、状況が一変したことから、少なくとも17年6月まで猶予する。銀行の融資余力を高め、企業や家計への貸し渋りを防ぐことで、離脱による景気悪化の影響を抑える狙いがある。BOEは同措置によって1,500億ポンド(約19兆6,000億円)の融資余力が生じるとしている。

英国ではEU離脱決定が金融市場を揺さぶりつつある。生保大手スタンダード・ライフ傘下のスタンダード・ライフ・インベストメンツ、アビバ・インベスターズなどの資産運用会社が4日から5日にかけて、英国の不動産市況の悪化を受けて、国内不動産を対象とするファンドの取引を一時凍結し、顧客の解約を停止した。

BOEは金融市場混乱の「リスクが具現化しつつある」と危機感を表明。資本積み増しの凍結に加えて、EUが今年1月に導入した保険会社の新資本規制について、国内保険会社の適用要件を緩和することも明らかにした。新規制の順守を迫られる保険会社が社債などを投売りするのを防ぐ狙いがある。

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