独化学工業会(VCI)が独業界(製薬を含む)の長期生産成長率見通しを下方修正した。業界を取り巻く環境が変化したためで、2030年までの成長率を従来予測の年1.8%から同1.5%へと引き下げた。VCIのデータをもとに経済紙『ハンデルスブラット』が報じた。
VCIは4年前、調査会社プログノスと共同で30年までの長期予測を作成した。だが、業界を取り巻く環境の変化は速く、VCIはこのほど下方修正に踏み切った。
予測修正の理由の1つは世界経済の成長見通しが中国、インドなどの主要新興国と先進国の両方で悪化したこと。従来は30年までの世界の業界成長率を年4.5%としていたが、今回3.4%へと1.1ポイント引き下げた。
中国などの新興国が生産能力を大幅に拡大したことも独業界の生産成長率予測引き下げにつながった。VCIはこのほか、デジタル化の進展など技術革新も影響するとみている。
ただ、そうしたマイナス要因にもかかわらず、ドイツは競争力を保つというのがVCIの見方だ。その理由として、差別化が難しい基礎化学から研究開発集約型の製薬、特殊化学分野に独メーカーの軸足移りつつあることを挙げている。