給与の男女格差は不当な差別

同一の労働を行っているにもかかわらず男性と女性とで給与に差をつけることは一般平等待遇法(AGG)で禁じられた不当な差別に当たり、差別を受けた女性は損害賠償と慰謝料の支払いを請求できる。そんな判断をラインラント・ファルツ州労働裁判所が昨年10月に下した判決(訴訟番号:4 Sa 12/14)で示したので、ここで取り上げてみる。

裁判は靴メーカーの工場で働く女性が同社を相手取って起こしたもの。同社では女性の給与が男性より低く設定されていた。この事実が2011年9月の従業員集会で明らかになったことから、原告の女性社員は11月22日付の文書で雇用主に対し◇09年1月1日以降の給与について男性社員との差額を損害賠償として支払う◇慰謝料も支払う――よう要求。これが受け入れられなかったため提訴し、男性給与との差額1万2,156.88ユーロと慰謝料9,194.50ユーロの支払いを要求した。

原告は1審で勝訴。2審のラインラント・ファルツ州労裁も基本的に同様の判断を示した。判決理由で同州労裁の裁判官は、男性給与との差額分は未払い給与であり、不履行となっている被告の債務だと指摘。履行遅滞を定めた民法典286条1項などの規定に基づき1万1,016.30ユーロの損賠支払いを被告に命じた。慰謝料についてもAGG15条2項の規定に基づき6,000ユーロの支払いを命じた。

最高裁の連邦労働裁判所(BAG)への上告は認めなかった。

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