フィアット排ガス不正疑惑、独当局が欧州委に調査要請

ドイツ運輸省が欧米自動車大手フィアット・クライスラー・オートモービルズ(FCA)のディーゼル車に排ガス不正の疑いがあるとして、欧州委員会に調査を要請したことが1日、明らかになった。複数の欧米メディアが報じた。FCAは独運輸当局の聴取を拒否し、伊当局は不正はないと主張しているため、欧州委に介入を求めたかたち。ただ、不正が見つかった場合は当該メーカーが拠点を置く国の当局に是正の責任があるため、欧州委はまず当事国同士で解決策を模索し、欧州委に経緯を報告するよう求めている。

連邦自動車庁(KBA)は昨年9月に独フォルクスワーゲン(VW)の違法ソフトを使った排ガス規制逃れが発覚したことを受け、国内外のメーカーを調査。5月には独ダイムラーなどとともに、フィアットの一部モデルにも排ガス浄化装置に問題が見つかったことを明らかにした。KBAはFCAにも聴取を行う予定だったが、FCAは伊当局に管轄権があると主張してこれを拒否。伊運輸省はその後、欧州委に書簡を送り、フィアット車に不正はないと説明していた。

欧米メディアが独運輸省から欧州委に宛てた書簡をもとに報じたところによると、KBAの調査ではフィアット「500X」、同「ドブロ」、ジープ「レネゲード」の3モデルで排ガス浄化装置に不正な機能が見つかった。具体的にはエンジンをかけてから22分後に排ガス浄化装置が自動的に停止し、その後「基準値の9~15倍」に上る窒素酸化物(NOx)を排出した。通常の検査は20分で終了するため、KBAはFCAが不正ソフトを使用したとの見方を強めている。

伊当局は排ガス浄化装置の停止機能について、「エンジンを保護するために必要な機能」と説明したが、独側はこうした見解は「容認できない」と断じている。

一方、FCAはロイター通信などの取材に対し、同社は現行の排ガス基準を満たしており、違法ソフトも搭載していないと従来からの主張をくり返している。

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