自動車大手の独ダイムラーは7日、小包配達用デリバリーバンのコンセプトカー「ビジョン・バン」を公開した。時代の変化に見合った配達を最新のデジタル技術を用いて支援する「アドバンス(adVANce)」構想に基づくもので、荷物の積み込みの全自動化と配達を行う小型無人機の搭載が特徴だ。
ビジョン・バンは電気自動車(EV)であるため、有害物質を排出しないうえ、排気音も出さない。このため環境に優しく、夜間配達にも適している。航続距離は目的に応じて大きく異なり、80キロ~270キロとなっている。
小包配達車には現在、運転手が荷物を1つ1つ、手で積み込んでいる。ビジョン・バンでは炭素素材の棚にすべての荷物を配達しやすい順番に自動的に整理して並べたうえで、車両の荷物スペースに無人フォークリフトで一回で積み込む方式を採用。これにより積込時間を現在の平均80分から5分に短縮できる。
小型無人機は車両のルーフ上に2台、設置されており、宛先の住所に小包を届ける際に利用される。全自動であるため操縦の必要はない。運転手も配達を行うため、一度に3つの小包を届けることができ、時間の大幅な節約につながる。
アドバンスでは今後5年間に約5億ユーロを投資する計画。対象となるのはデジタル化、オートメーション化、ロボットおよび画期的なモビリティーサービスで、スタートアップ企業との提携も積極的に行う考えだ。無人小型機を開発・製造する米新興企業マターネット(Matternet)にはすでに資本参加した。
ダイムラーはビジョン・バンに役立つスタートアップ企業を見つけ出すために約200人からなる新部隊「フューチャー・トランスポーテーション・システムズ」を立ち上げた。本社所在地シュツットガルトのほか、IT起業が盛んなベルリンと米シリコンバレーで活動を行っている。