ランクセス―過去最大の買収、添加剤事業強化へ―

化学大手の独ランクセス(ケルン)は26日、潤滑油・難燃剤向け添加剤大手の米ケムチュラを買収することで両社が合意したと発表した。景気変動の影響を緩和できる事業体制の構築戦略に沿った措置。今回の買収により世界有数の添加剤メーカーとなるとともに、北米事業を大幅に強化する。

ケムチュラを株式公開買い付け(TOB)で買収する計画で、同1株につき現金33.50ドルを支払う。これは前営業日(23日)の終値を18.9%上回る水準。ケムチュラを約24億ユーロと評価した格好で、ランクセスが行う買収では過去最大となる。独禁当局の審査を経て買収手続きが来年半ばに完了すると予想している。

ケムチュラは世界11カ国に計20の事業拠点を持ち、従業員数はおよそ2,500人。過去1年間(4四半期)の売上高は15億ユーロ、営業利益(EBITDA、特別要因を除く)は2億4,500万ユーロで、売上高営業利益率は約16%に上る。

ランクセスはケムチュラの潤滑油向け添加剤と難燃剤向け添加剤事業をともに自社の特殊添加剤事業(ADD)と統合し、新たに「パフォーマンス添加剤」部門を設立する。また、ケムチュラのウレタン事業と有機金属化合物事業をそれぞれハイパフォーマンスマテリアルズ部門、アドバンスド工業化学品ビジネスユニットへと統合する。シナジー効果は2020年までに1億ユーロに達すると見込んでいる。

ランクセスは主力の合成ゴム事業の不振を受けて、同事業を4月1日付でサウジアラムコとの合弁会社に転換。売却益12億ユーロを取得した。その一部を買収資金に振り向け事業の多角化を進める考えで、4月にも米ケマーズの消毒・衛生用品事業を2億1,000万ユーロで買収することを明らかにした。

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