自動車大手のBMWなど3社は22日、電気自動車(EV)の中古電池を利用した蓄電施設をハンブルク港に開設したと発表した。EVの利用増加に伴い中古電池が今後、大量に発生することから、これを有効に活用する考え。競合ダイムラーも同様の取り組みをすでに行っている。
BMWと自動車部品大手ボッシュ、エネルギー大手バッテンフォールの3社は廃車EVのリチウムイオン電池から電力調整用の蓄電設備を作るプロジェクトに2013年から取り組んでいる。中古電池を有効活用するほか、経年変化や蓄電能力に関する知見を獲得することが狙いだ。プロジェクトの期間は5年。
ハンブルク港に開設した蓄電施設は、BMWのEV100台強で使われていたリチウムイオン電池モジュール2,600個からなる。出力は2メガワット(MW)、蓄電能力は2,800キロワット時(kWh)で、2人世帯の7か月分の電力需要に相当する。ただ、蓄電した電力は一般向けに販売せず、送電網の周波数制御を行う調整電源として市場投入する。
ドイツでは発電量が天候に大きく左右される風力、太陽光発電が急速に増加している。風力が強かったり晴天の時には需要を上回る発電が行われることから、余剰電力を蓄える能力の拡充は大きな課題となっており、EVの中古電池はその重要な担い手として期待されている。