中国のEU向け直接投資、16年は77%増

独シンクタンクのメルカトル中国研究所と米調査会社ロディウム・グループが11日発表したリポートによると、中国の対外直接投資額は2016年に前年比40%増の1,800億ユーロに上り、過去最高を記録した。EU向けは77%増の350億ユーロで、このうちドイツへの投資額が110億ユーロと31%を占めた。

一方、欧州から中国への投資額は80億ユーロにとどまり、4年連続で前年の水準を下回った。リポートは中国経済の成長鈍化、激しい競争による利益率の低下、外国企業に対するさまざまな参入障壁などが対中投資を鈍らせていると分析。「投資フローのギャップが広がっていることを受け、EU・中国間における『相互主義』の欠如を欧州側が強く認識するようになっている」と指摘した。

リポートはさらに、中国は外国企業の買収を国内あるいは他の市場で「自国企業が外資に取って代わるための手段」と考えているため、欧州内では「中核的な産業技術を中国に売却すれば欧州の産業基盤が脅かされるとの警戒感が広がっている」との見方を示した。

こうしたなか、ドイツ政府は中国企業による自国企業の買収について、いったん取引を承認した案件の再審査に乗り出すなど厳しい対応を取り始めている。国内でハイテク技術の流出に対する警戒感が高まっているためで、ガブリエル副首相兼経済相はEUに対し、加盟国の政府に域外の企業による買収や出資を阻止する権限を与えるよう求めている。

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