資金洗浄リスク国のブラックリスト、欧州議会が拒否

欧州議会は19日の本会議で、マネーロンダリング(資金洗浄)およびテロ資金供与の防止対策が不十分な国・地域を列挙したEU共通ブラックリストを拒否する決議を賛成多数で採択した。欧州委員会が作成したリストにはパナマをはじめとするタックスヘイブン(租税回避地)が含まれておらず、不十分として対象国・地域を拡大するよう求めている。

EUはテロ組織の資金源を根絶するための取り組みを強化しており、テロの資金源になりやすいマネーロンダリングに対する取り締まりも強化している。欧州委はその一環として、アフガニスタン、イラク、ボスニア・ヘルツェゴビナ、北朝鮮など11カ国をマネーロンダリングおよびテロ資金供与の防止対策が不十分な国に指定する案をまとめた。ブラックリストに掲載された国・地域の企業がEU内で活動する場合、厳しい規制が適用されることになる。

欧州委が作成したブラックリストに反対する決議は賛成393票、反対67票、棄権210票で採択された。決議案をまとめた欧州緑グループ・欧州自由連盟(Greens-EFA)のサルゲンティーニ議員(オランダ選出)は声明で、「投票結果は現行のリストがいかに不十分であるかを明確に示している。目的にかなったブラックリストの策定に向け、欧州委が野心的な修正を加えることを期待する」とコメントした。一方、投票を見送った最大会派、欧州人民党グループ(EPP)のカーリンス議員(ラトビア選出)は「マネーロンダリングやテロ資金供与の組織的な脅威について明確な証拠がある場合のみ、特定の国や地域がブラックリストに掲載されるべきだ。判断基準について十分に説明責任を果たせるよう、欧州委はより透明性の高いアルゴリズムを考案する必要がある」と指摘した。

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