被用者が勤務先の企業と競合する活動を行うことは禁じられている。これは商法典(HGB)60条から導き出されたルール(競業禁止=Wettbewerbsverbot)であり、雇用主は違反者を解雇できる。このルールをめぐる係争でケルン州労働裁判所が7日の判決(訴訟番号:12 Sa 745/16)で判断を示したので、ここで取り上げてみる。
裁判は税理士事務所の職員が同事務所を相手取って起こしたもの。
原告は労使関係解除の契約を被告事務所と結んだ。同契約は締結の数カ月後に発効することになっていた。
原告は被告との労使関係が解消される前の時点で、ビジネス向けSNSのXINGに自らの職業を「フリーランサー」と書き込んだ。これを知った被告は競業禁止ルールに反するとして即時解雇を通告。原告はこれを不当として提訴した。
一審は原告勝訴を言い渡し、二審のケルン州労裁も同様の判断を示した。判決理由で同州労裁の裁判官は、被用者である間は競業活動が原則的に禁止されるとしながらも、独立に向けた準備を行うこと自体は競合活動に当たらないと指摘。原告は◇被告が雇用主であることをXINGの自己紹介の欄に明記していた◇自己紹介の欄にはフリーランサーと書き込んだに過ぎず、営業活動は行わなかった――として、競業禁止のボーダーラインを超えていなかったとの判断を示した。原告が仮に顧客獲得に向けた営業活動をしていれば競合禁止ルールに抵触していたとしている。
最高裁の連邦労働裁判所(BAG)への上告は認めなかった。