塗料世界最大手アクゾ・ノーベル(オランダ)は8日、米同業PPGインダストリーズの新たな買収提案を拒否すると発表した。PPGは買収額を引き上げたが、アクゾは「当社の価値を過小評価している」などとして応じなかった。これを受けてPPGが敵対的買収に乗り出す可能性が出てきた。
アクゾは3月初め、PPGから総額220億ユーロでの買収を提案されたが、価格を不満としたほか、買収が決まったとしても競争上の問題で関連国・地域の当局から承認されない恐れがあるなどとして拒否を表明。PPGは同月に買収額を224億ユーロに引き上げたものの、アクゾは交渉にさえ応じず、しかも独立維持に対する株主の支持を取り付けるため、特殊化学部門を切り離して株主価値を高める方針を打ち出し、強硬な姿勢を崩さなかった。
このためPPGは4月下旬、買収額を269億ユーロまで引き上げ、さらに買収計画が当局から承認されなかった場合に違約金を支払うことを盛り込んだ新提案を提示していた。
アクゾは新提案について、なお価格が低すぎ、買収をめぐるリスクが高いと指摘。また、6日に両社の経営陣が会談した際、PPG側からアクゾ従業員の雇用維持などに関して明確な返答を得られなかったとして、拒否する意向を表明した。
PPGは3度目の買収案を提示した際、「最後の招待状」として、拒否された場合に新たな提案を行わない方針を打ち出していた。同社は6月1日までに敵対的な株式公開買い付け(TOB)による買収に踏み切るか、買収を断念するかを決めることになる。