仮想現実(VR)技術の開発を手がける新興企業の英インプロバブル・ワールズは12日、ソフトバンクグループが主導する資金調達ラウンドで5億200万ドルを調達したと発表した。ブルームバーグによると、英国のベンチャー企業に対する投資案件としては過去10年で5番目の規模となる。
インプロバブルは2012年の設立でロンドンに本社を置く。現在はゲーム用VRシステムの構築が中核事業だが、調達した資金を活用して、今後は医療や都市開発など、ゲーム以外の分野で現実世界をシミュレーションするための技術開発に力を入れる方針を示している。
インプロバブルにはソフトバンクのほか、15年3月に合わせて2,200万ドルを出資したベンチャーキャピタルの米アンドリーセン・ホロウィッツや、シンガポールの政府系ファンド、テマセク・ホールディングスなどが新たに出資する。なお、ソフトバンクはインプロバブルに取締役1名を派遣する。
ソフトバンクはテクノロジー分野における主導権の確保を目指しており、今回の投資もそうした戦略の一環。ディープ・ニッシャー投資担当マネージングディレクターは声明で、「インプロバブルは世界のゲーム産業にとって不可欠なプラットフォームになりつつある画期的なテクノロジーを確立している」と強調。同社のシミュレーション技術は病気の解明や都市整備など、幅広い分野で役立つ可能性があると指摘した。