サンデンは7日、二酸化炭素(CO2)冷媒を採用したカーエアコン用新型コンプレッサーを欧州高級車大手のダイムラーに5月から供給を開始したと発表した。CO2冷媒コンプレッサーを量産車向けに本格供給するのは世界で初めて。CO2冷媒は環境に優しいうえ安全性も高いことから、今後需要が拡大する可能性がある。
欧州連合(EU)では温暖化防止策の一環として2013年1月から、従来カーエアコン用冷媒として使われてきたR134aなどの代替フロンに代わり、地球温暖化係数(GWP:二酸化炭素=CO2=の何倍の温室効果を有するかを示す値)150以下の冷媒を使用することが義務づけられた。この基準を満たすのは当時、米ハネウエル・インターナショナルの「R1234yf」に限られており、各メーカーは11年以降に型式認定を受けたすべてのモデルに同新冷媒を採用しなければならなかった。
ほとんどのメーカーは同ルールを順守したものの、ダイムラーは独自に行った試験で高温のエンジンルーム内で引火性を持つことが確認されたとして、12年9月にR1234yfの採用中止を決定。すでに同冷媒の使用で型式認定を受けていたメルセデスブランドの新型「Aクラス」などで引き続き旧冷媒R134aを使用することにした。
同社はその後、CO2を冷媒に用いたカーエアコンを2017年からメルセデス車の一部に搭載する計画を明らかにした。同冷媒はGWPが1であるため、R1234yfとともに基準を満たしており、EU法上の問題がない。
サンデンがダイムラー向けにCO2冷媒を採用したカーエアコン用コンプレッサーの供給を開始したのはこうした事情を受けたもので、両社は共同チームを通して同コンプレッサーを開発した。CO2冷媒は運転圧力が134aに比べ約5倍に達することから、高耐圧構造・高気密性の実現が製品化のカギとなった。
同コンプレッサーは群馬県伊勢崎市の八斗島事業所で生産している。