長期病休社員の職場復帰支援措置、雇用主の検討義務で判決

年に6週間以上、病気休業する被用者がいる場合、雇用主はどうすれば職場に復帰できるかを従業員の代表である事業所委員会(Betriebsrat)などと共同で検討しなければならない。これは第Ⅸ社会法典(SGBⅨ)84条2項に記されたルールで、「職場復帰マネジメント(Betriebliches Eingliederungsmanagement=BEM=)」と呼ばれる。では、そうした被用者が病休は今後もずっと続くと発言した場合もBEMを検討する義務があるのだろうか。この問題をめぐる係争でラインラント・ファルツ州労働裁判所が1月に判決(訴訟番号:8 Sa 359/16)を下したので、ここで取り上げてみる。

裁判は段ボールメーカーから病気理由の解雇通告を受けた社員が雇用主を相手取って起こしたもの。同社員は2011年3月から断続的に長期の病休を繰り返していた。15年1月26日の面接で「今後の就労不能(病休)を回避するために雇用主ができることは何もない。私の病気は治療不可能なものだ」と述べたこともあり、雇用主はBEMを検討することなしに16年2月26日付の文書で、9月末付の解雇を通告した。原告はこれを不当として解雇無効の確認を求める裁判を起こした。

1審のルートヴィヒスハーフェン労働裁判所は原告勝訴を言い渡し、2審のラインラント・ファルツ州労裁も1審判決を支持した。判決理由で同州労裁の裁判官は、雇用主はBEMの検討を必ず行わなければならないわけではないが、その場合はBEMを行っても職場復帰が不可能であることを包括的かつ詳細に証明することを義務づけられると指摘。被告雇用主はそうした証明を行うことができなかったため、解雇無効との判断を示した。最高裁の連邦労働裁判所(BAG)への上告は認めなかった。

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