欧州の複数のトラックメーカーが6トン以上のトラックとトラクターの販売で違法なカルテルを結んでいた問題で、ドイツの物流業界団体BGLが被害を受けたドイツの運送会社などの損害賠償請求権を集約している。BGLが10日、明らかにしたもので、すでに1,000社以上が参加し、損賠請求の対象車両数は4万台を超えた。BGLは9月末まで傘下企業を募ったうえで損害賠償をカルテル企業に請求する計画で、対象車両数を最終的に10万台以上に拡大する考えだ。
同カルテルに参加していたのはMAN(独)、ボルボ/ルノー(スウェーデン/仏)、ダイムラー(独)、イベコ(伊)、DAF(蘭)、スカニア(スウェーデン)の6社(グループ)。欧州連合(EU)の欧州委員会はこのうちMANとスカニアを除く4社に昨年7月、総額29億2,650万ユーロの制裁金支払いを命じた。内訳はダイムラーが10億877万ユーロ、DAFが7億5,268万ユーロ、ボルボ/ルノーが6億7,045万ユーロ、イベコが4億9,461万ユーロ。MANは最初に通報したため、制裁を全額免除された。スカニアは捜査が未終了のため制裁額が確定していない。
6社は1997年から2011年にかけてカルテルを結び、販売価格を取り決めていた。また、EU環境規制に対応した排ガス処理システムの導入時期と、同システムのコストを顧客に転嫁することを申し合わせていた。
BGLは6トン以上のトラックとトラクターの価格を10万ユーロ以上、カルテルで不当に上乗せされた価格の割合を10%としたうえで、損賠請求訴訟を起こす。損賠請求の対象車両が10万台であれば、請求総額は10億ユーロを超える計算だ。
損賠訴訟の準備を進める弁護士事務所ハウスフェルトの担当弁護士は、スウェーデン、デンマーク、チェコなど他のEU加盟国の業界団体と連携していることを明らかにした。ドイツ以外の国の訴訟も含めると、損賠請求額は一段と増えることになる。