英仏の「ホタテ戦争」勃発、投石や漁船の衝突に発展

英国とフランスを隔てるイギリス海峡で、ホタテ漁をめぐる英仏間の対立が先鋭化している。8月28日には両国の漁船が衝突する事態に発展。地元メディアは「ホタテ戦争」と名付け、大々的に報じている。

英メディアによると、フランスの漁船30隻以上がノルマンディー沖でホタテ漁をしていた英国の漁船5隻を取り囲み、発煙弾や石を投げつけ、英側もこれに応戦した。けが人は出なかったもようだが、英テレビでは双方の漁船が船体をぶつけ合い、窓が割れる様子などが映し出された。

英BBCなどによると、ノルマンディー沖は有数のホタテの漁場として知られ、フランスは資源保護の観点から繁殖期の5月中旬から9月末までの期間、ホタテ漁を禁止しているのに対し、英国にはこうした規制がないため、英漁船は年間を通して操業が可能。ここ数年は英側が夏の間、大型船の操業を自粛するという協定を交わしてきたが、今年は仏側が9月末まで小型船を含めて漁をしないよう求めたことで交渉が決裂。英側が漁を続けたことで、仏漁業関係者は不満を募らせていた。

今回の事態を受け、欧州委員会のロザリオ報道官は29日の定例会見で、ホタテの漁業権をめぐる取り決めは英仏にアイルランドを加えた3カ国が合意したもので、EUレベルの事案ではないと指摘。このため今後も欧州委が介入するつもりはないと述べ、英仏両国に「平和的解決策」を見出すよう促した。

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