デジタル税導入案で合意できず、仏が「サンセット条項」提案=EU財務相理

2018年9月10日発行 No.214号

EUは8日開いた財務相理事会の非公式会合で、米グーグルやアップルなどの大手IT企業を対象とする「デジタル税」の導入案について協議したが、合意には至らず結論を持ち越した。フランスはアイルランドをはじめとする反対派の譲歩を引き出すため、IT企業に対する課税ルールについて国際的な合意が形成された段階で、EU独自のデジタル税を廃止する「サンセット条項」を提案。議長国のオーストリアは欧州委員会が提案している課税案を軸に、年末までに結論をまとめる方針を示している。

国際的に事業展開するIT企業への課税問題をめぐっては、20カ国・地域(G20)や経済協力開発機構(OECD)でも現行ルールの見直しが進められているが、早期の合意形成は困難な状況。EUでは国によって異なる課税ルールを利用したネット企業などによる課税逃れが問題になっており、欧州委は3月、IT企業に対する課税強化策としてデジタル税の導入を提案した。

欧州委案によると、デジタル税の課税対象となるのは世界全体の売上高が年間7億5,000万ユーロを超え、EU域内の売上高が5,000万ユーロを上回る企業。国内に物理的な拠点がないため現行制度では課税を免れている企業も対象となる。課税ベースでは利益ではなく、売上高で、サービス利用者の居住地ごとに、加盟国がオンライン広告やサービス仲介などの売上高に3%を課税する仕組み。欧州委によると、域内で活動する120~150社が対象になる見通しで、EU全体で約50億ユーロの税収を見込む。

税制改革には全ての加盟国による全会一致の承認が必要。フランスやイタリアなどがデジタル税の導入を支持する一方、低税率を武器にIT企業を誘致してきたアイルランドやルクセンブルク、米国の報復措置を恐れる北欧諸国などは導入に難色を示しており、議論は平行線をたどっている。

財務相会合ではデジタル税推進派のルメール仏財務相が妥協案として、欧州委案にサンセット条項を盛り込むよう提案。これに対し、アイルランドのドナフー財務相は国際的な合意が優先されるとの立場をくり返した。一方、ドイツのショルツ財務相は徹底的な議論が必要だと指摘したうえで、年内の合意を目指す考えを示した。

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