英中銀総裁の退任延期、EU離脱に対応

英政府と英中央銀行のイングランド銀行は11日、来年6月末に退任する予定だったイングランド銀のカーニー総裁が2020年1月末まで留任すると発表した。英国のEU離脱からまもない微妙な時期に金融政策のトップが交代するのは望ましくないとの判断に基づき、退任の7カ月延期を決めた。

英国は19年3月末にEUを離脱することになっている。カーニー総裁は当初、その3カ月後に退任するはずだった。しかし、英とEUの離脱交渉が難航し、新たな通商関係などが定まらないまま離脱する「無秩序離脱」が現実味を帯びる中、英政府内では総裁の退任時期を遅らせ、離脱後の対応に腰を据えて当たらせることで、離脱後に経済が混乱するのを防ぎたいとして留任を求める動きが出ていた。

カーニー総裁は退任延期が決まった直後に発表した声明で、英国のEU離脱とイングランド銀の新体制移行を円滑に進めるため「できることは何でもやるつもりだ」と述べた。

イングランド銀の総裁の任期は通常8年だが、13年7月に就任したカーニー総裁は、家庭の事情から5年で退任することになっていた。しかし、16年に実施された英国の国民投票でEU離脱が決まったことから、任期が1年延長された経緯がある。これに続く2度目の退任延期となる。

英政府は同時に、イングランド銀のカンリフ副総裁(金融安定担当)の続投も決めた。同副総裁は2期目として23年10月末まで現職にとどまる。

上部へスクロール