使い捨てプラスチック製品規制案、欧州議会環境委が採択

欧州議会の環境委員会は10日、ストローなど一部の使い捨てプラスチック製品の使用を禁止する規制案を採択した。プラスチックごみによる海洋汚染に歯止めをかける戦略の一環で、2021年からの実施を目指す。規制案は今月下旬の欧州議会本会議で採決される予定だ。

欧州では年間に約2,600万トンのプラスチックごみが排出されているが、リサイクルされるのは30%未満にとどまっている。海に流出する海洋ごみの85%がプラスチック類で、海洋生物の生態系に深刻な影響を及ぼしている。今年に入り、EUで出るプラスチック廃棄物のおよそ8割を受け入れてきた中国が輸入禁止に踏み切ったことを受け、欧州委員会は1月、30年までに域内で使い捨てのプラスチック容器や包装をゼロにする目標を掲げた「EUプラスチック戦略」を発表。同戦略に沿って5月にプラスチック製品の使用に関する新ルールを打ち出した。

規制案によると、使い捨てのプラスチック製品のうち、低コストで環境に優しい代替品を入手できるものについては市場での流通が禁止される。環境委は欧州委が提案しているストロー、ナイフ、フォーク、皿、マドラー、綿棒の軸、風船用スティックの7品目に加え、新たに超軽量ビニール袋、酸化型生分解性プラスチック製品、ファストフード店などの発泡スチロール製容器を上市禁止のリストに追加した。

一方、現時点で代替品がなかったり、安価な代替品の入手が困難なプラスチック製品に関しては、加盟国に25年を達成期限とする「野心的かつ持続的な」削減目標の策定を義務付ける。例えばサンドイッチやバーガー類、野菜やくだもの、アイスクリームなどの使い捨て容器がこれに該当する。

飲料用容器に関しては、キャップまたは蓋付きの製品に限って使用が認められる。また、加盟国は25年までに製飲料ボトルの90%を回収・リサイクルしなければならない。

規制案にはこのほか◇廃棄されたプラスチック製漁網や漁具の少なくとも50%を回収し、25年までに15%のリサイクル目標を達成する◇プラスチックを含むたばこフィルターの消費を25年までに50%、30年までに80%削減する◇廃棄物の収集や回収の費用負担をメーカーに求める――などが盛り込まれている。

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