伊政府が予算案修正を拒否、欧州委が制裁発動か

イタリア政府は13日、EUが求めている2019年予算案の見直しに応じない意向を表明した。欧州委員会は同予算案がEUの財政規律に違反するとして、同日までに修正案を提出するよう指示していた。これを政府が拒否したことで、欧州委が制裁に乗り出す可能性が高まってきた。

6月に発足したポピュリズム(大衆迎合主義)政党「五つ星運動」と「同盟」の連立政権がまとめた19年予算案によると、同年の財政赤字はGDP比2.4%。欧州委は赤字幅が前政権が目標としていたGDP比0.8%を超える「ばらまき政策」で、さらに前提となる同年の経済成長見通しが楽観的で、実際には赤字がさらに膨らむとして、10月23日に修正を求めた。

これに対してイタリア政府は、前政権が進めていた財政緊縮からの方向転換が成長を押し上げ、問題となっている累積債務の圧縮につながると反論していた。政府は欧州委に送付した書簡で、同様の主張を展開。国有不動産の売却によって財政改善を進める方針を新たに示したが、予算案そのものの修正は拒否した。

EUが加盟国の予算案を拒否し、修正を命じたのは、予算を欧州委が事前に審査する制度が13年に導入されてから初めて。欧州委はイタリア政府が見直しに応じなかったことで、制裁手続きに着手するかどうかを検討する。制裁が決まれば、イタリアはGDPの最大0.2%に相当する制裁金の支払いを命じられる可能性がある。

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