欧州議会が日欧EPA承認、来年2月発効へ

欧州議会は12日の本会議で、日本とEUの経済連携協定(EPA)を賛成多数で承認した。日本では今月8日に参院本会議で承認され、すでに国内手続きが完了しているため、協定は来年2月1日付で発効する見通しとなった。

本会議では賛成474、反対152(棄権40)で日欧EPAが承認された。欧州委員会のマルムストローム委員(通商担当)は採決結果を受け、「日本との経済的パートナーシップが現実のものになろうとしている。日欧EPAは安全や環境保護などで高い水準を確保しながら、公平でオープンな貿易を支持するEUの姿勢を示すシンボルであり、シグナルだ」と述べた。

EPAが発効すると、世界の国内総生産(GDP)の約3割、貿易の約4割を占める巨大な自由貿易圏が誕生する。EU側は約99%、日本側は約94%の品目で関税を撤廃し、投資やサービスなど幅広い分野で自由化を進める。焦点の1つだった自動車分野では、EU側が日本製の乗用車にかけている10%の関税を協定発効から8年目に撤廃するほか、自動車部品についても貿易額ベースで92.1%にあたる品目を対象に即時撤廃する。一方、日本側は現在29.8%の関税をかけているカマンベールやモッツァレラなどのソフトチーズに低関税の輸入枠を設け、段階的に関税を撤廃するほか、欧州産ワインは15%の関税を即時撤廃し、牛肉や豚肉に対する関税も段階的に引き下げる。

日本とEUは英国のEU離脱前のEPA発効を目指しており、そのためには双方が年内に国会と欧州議会の承認を得る必要があった。来年3月の離脱前に発効すれば、20年末までの移行期間も協定が適用されるため、英国に生産拠点を置く自動車メーカーなど日本企業への影響を最小限に抑えることができる。

一方、欧州議会は同日、日本とEUが政治、外交、テロ対策や環境問題をはじめとする世界規模の課題など、幅広い分野で協力を強化する「戦略的パートナーシップ協定(SPA)」も賛成多数で採択した。SPAは全加盟国の議会による批准手続きを経て発効する。

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