欧州中央銀行(ECB)は13日に開いた定例政策理事会で、量的金融緩和を年内に終了することを確認した。ユーロ圏では景気減速、米国の保護主義に起因する貿易戦争、英国のEU離脱問題の混迷など懸念材料があるものの、方針転換の必要性はないと判断した。
ECBは2015年3月、ユーロ圏のデフレ回避と景気下支えを目的に、ユーロ圏の国債などを買い入れる異例の量的金融緩和を開始した。しかし、欧州で緩やかな景気回復が続いていることから、6月の理事会で年内終了を決定。毎月の購入額を10月から半分の150億ユーロに削減し、来年1月から購入を打ち切る方針を打ち出していた。
ECBはドラギ総裁が記者会見で、ユーロ圏では景気の下振れリスクが強まっているとの認識を示したものの、インフレ率が目標水準にあり、景気が持続的に回復していることから、量的緩和を予定通り年内に終了することを決定した。
ユーロ圏の2018年7~9月期の域内総生産(GDP、速報値)は前期比0.2%増となり、22四半期連続のプラス成長を記録した。ただ、伸び率は前期の0.4%から縮小し、約4年ぶりの低水準となった。ECBは同日発表した最新の内部経済予測で、18年の予想成長率を1.9%とし、前回(9月)の2%から下方修正した。19年の予想成長率も0.1ポイント引き下げ、1.7%とした。こうした状況を受けて、ECBは超低金利を少なくとも2019年夏まで継続することを改めて確認した。
ECBはインフレ率に関して、18年が1.8%、19年が1.6%になると予想。18年は0.1ポイント上方修正したが、19年は0.1ポイント引き下げた。