イタリアのコンテ首相は12日、EUから財政規律違反として批判されている2019年予算案の修正案を欧州委員会に提出したことを明らかにした。財政赤字を当初予定していた国内総生産(GDP)比2.4%から2.04%に削減するという内容。これによって制裁を回避したい考えだ。
累積債務が国内総生産(GDP)比131%と、EUの財政規律で上限となっている60%を大きく超えるイタリアは、EUから財政健全化を求められている。しかし、6月に発足したポピュリズム(大衆迎合主義)政党「五つ星運動」と「同盟」の連立政権がまとめた19年予算案は、年金給付拡大、貧困層への特別給付、自営業者の減税などを盛り込んだ“ばらまき”政策の色彩が濃い内容。19年の赤字幅は財政規律で上限となっているGDP比3%を下回るものの、前政権が目標としていたGDP比0.8%を超える。
欧州委は見直しを求めたが、伊政府は応じていなかった。このため欧州委は11月下旬、イタリアがEUの財政規律に違反していると正式認定し、制裁に向けた手続きに着手する方針を示した。
コンテ首相は12日に欧州委のユンケル委員長と会談し、修正案を提示した。どのように赤字を追加削減するかについて、年金給付拡大、貧困層支援は変更せず、国有資産の売却を増やすとしているが、詳細は不明だ。
イタリアは修正案が認められない場合、GDPの最大0.5%に相当する制裁金の支払いを命じられる可能性がある。欧州委は向こう数日間で修正案を精査し、容認するかどうかを判断する。欧州委の報道官は「良い進展があった」とイタリアの提案を評価しており、制裁回避の可能性が出てきた。