ドイツ連邦交通省は15日、トラック走行料金事業の再民営化計画を取り止めると発表した。国が直接、同事業を運営した方が経済性が高いと判断したためで、暫定的に国有化していたトラック走行料金徴収会社トル・コレクトを今後も国有会社にとどめることにした。
トル・コレクトは独政府からトラック走行料金の徴収業務を引き受ける目的で民間企業のダイムラー(自動車)やドイツテレコム(電気通信)が共同設立した合弁会社。2005年1月に徴収業務を開始し、18年8月末に委託契約が切れた。
政府は同年9月以降の委託先を選定するための公開入札を2016年10月に開始した。だが、入札手続きが完了しなかったことから、9月1日以降の料金徴収業務に穴が開く可能性が発生。国はこれを踏まえて9月1日付でトル・コレクトを暫定的に完全国有化した。この時点では、料金徴収業務の新たな委託先を同年内に決定し、トル・コレクトを新委託先企業に今年3月1日付で譲渡する予定だった。
だが、トラック走行料金の徴収事業を国が自ら行うと民間に委託した場合に比べてコストが低いことが、その後の調べで判明したことから、トル・コレクトの再民営化を中止した。コスト削減額は12年間で計3億5,000万ユーロ強に上るとしている。