欧州議会最大会派、ハンガリー政権与党の資格停止

欧州議会の最大会派で中道右派の欧州人民党(EPP)は20日、ハンガリーのオルバン首相率いる政権与党「フィデス・ハンガリー市民連盟」に対する資格停止処分を決定した。欧州連合(EU)の難民政策をめぐり、オルバン政権が欧州委員会のユンケル委員長を中傷するキャンペーンを展開したことを受けた措置。EPP内ではフィデスの除名処分を求める声もあったが、5月下旬の欧州議会選挙を控え、他の反EU勢力と同党の接近を警戒して除名は回避した。

資格停止はEPPとフィデスが共同で提案。欧州各国のEPP所属政党の代表らによる投票が行われ、賛成190、反対3で無期限の資格停止処分が決まった。オルバン氏は記者会見で「フィデスは自発的に資格停止に合意した」と強調。除名の流れになった場合は「用意した離脱届を突きつけて退席するつもりだった」と述べた。

EPPによると、今後はファンロンパイ元EU大統領ら3人で構成する特別委員会を立ち上げ、フィデスが「民主主義の規範」や「法の支配」を順守しているかどうかを評価。欧州議会選挙後に報告書をまとめ、処分について再検討する。

フィデスの資格停止に至った直接の原因は、ハンガリー政府による反EUキャンペーン。オルバン政権は2月、公式フェイスブックに同国出身の著名投資家で、難民支援に熱心なジョージ・ソロス氏とユンケル氏を並べたポスターを投稿。「EU(の移民政策)がハンガリーの安全を脅かしている」といったスローガンを掲げ、街頭にもポスターを掲示した。

フィデスに対する処分は欧州議会選が近づく中、EPPに批判の矛先が向くのを防ぐ狙いがある。ただ、EPPは最大会派を維持するものの、議席数は現在の217から30以上減るとみられており、現有12議席の確保を見込むフィデスが会派を離脱した場合、ユンケル氏の後任となる次期欧州委員長選びなどに影響が出る恐れがある。こうした事情から除名処分は回避されたが、今後は資格停止を解除するタイミングが焦点になる。

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