ドイツに集中して存在する「隠れたチャンピオン」企業の強さの秘訣を同国の欧州経済研究センター(ZEW)が分析した。未公開研究レポートをもとに日刊紙『ヴェルト』が報じた。
隠れたチャンピオンはドイツの経営思想家ハーマン・サイモンが提唱した経営学上の用語。事業規模が比較的小さく、一般的な知名度も低いにもかかわらず、ある特定の分野で極めて高い市場シェアを持つ会社を指す。2014~16年を対象とした調査では、該当する世界の2,734社のうち1,307社をドイツ企業が占め、2位の米国(366社)、3位の日本(220社)を大きく引き離している。人口100万人当たりの数でもドイツは16.0社で、2位の日本(1.7社)の9.4倍に上る。
ZEWの調べによると、ドイツの隠れチャンピオンの生産性は他の中堅企業の平均を29%上回る。利益率も2ポイント高い。
ZEWは調査の結果、これらの企業では◇顧客と極めて緊密な関係を築いている◇顧客の個別ニーズに見合った技術・製品開発を特に重視している◇人材の質に大きな価値を置いている――ことを突き止めた。従業員に占める大卒者の割合は一般的な中堅企業に比べて5ポイント高い。従業員の教育にかける費用も1人当たり年610ユーロと、一般的な中堅企業を140ユーロ上回っている。