ドイツのペーター・アルトマイヤー経済相とフランスのブリュノ・ル・メール経済・財務相、欧州連合(EU)欧州委員会のマレシュ・シェフチョビチ副委員長(エネルギー同盟担当)は2日パリで会談し、欧州域内のメーカーによる車載電池セルの生産実現に向けた取り組みを協議した。最大のテーマとなったのは自動車大手の仏PSAなどが設立した企業連合(コンソーシアム)のセル工場建設計画。独仏政府は同連合に総額12億ユーロの補助金を交付する意向で、欧州委にはすでに承認申請が提出されている。ゴーサインが出れば欧州企業によるセル生産に補助金が支給される初のケースとなる。
PSAは独子会社オペル、エネルギー大手の仏トタル、およびトタルの電池子会社サフトと組んで独仏で車載電池セルを生産することを計画している。まずはフランスに雇用規模200人のパイロット工場を建設。2022~23年にかけてはさらに独仏両国に量産工場をそれぞれ1カ所、設置する。当初はリチウムイオン電池セルを手がけ、25~26年には次世代電池の本命と目される全個体電池のセル製造を開始する予定だ。
同企業連合に仏政府は7億ユーロ、独政府は5億ユーロの補助金を交付する方針。アルトマイヤー経済相は欧州委が今秋に承認するとの見方を示した。
独政府は車載電池セル分野の欧州企業連合に総額10億ユーロの補助金を交付する考え。経済省には自動車メーカーからサプライヤー、電池メーカー、化学メーカー、原料・リサイクリング事業者までと幅広い業界の計30以上の企業が、関心があると伝えた。
アルトマイヤー経済相は今回、PSAなどの連合以外にも独政府が補助金を支給する意向を表明した。スウェーデンの電池スタートアップ企業ノースボルトが参加するコンソーシアムを念頭に置いた発言と目される。ノースボルトは車載電池セルを研究する欧州コンソーシアムを同社と自動車大手の独フォルクスワーゲン(VW)が中心となって設立することで3月に合意している。