安倍晋三首相は6月27日、20カ国・地域首脳会議(G20サミット)で来日したEUのトゥスク大統領、ユンケル欧州委員長と大阪市内で会談し、EUが2011年の東京電力福島第1原発事故を受けて実施している日本産食品に対する輸入規制を緩和する方針で基本合意した。EU加盟国の承認を得て、年内にも農水産品の一部を対象に規制が緩和される見通しだ。
首相は東日本大震災の被災地の食品に対するEUの輸入規制に関して「震災復興は日本国民の悲願だ。早期の撤廃を期待している」と述べ、EU側に協力を要請。ユンケル氏は「今後数カ月で良い結果を出せる可能性がある」と述べ、日本側の要求に応じる姿勢を示した。
EUは日本側が提供するデータなどの分析結果に基づき、段階的に規制を緩和している。外務省によると、欧州委は◇岩手、栃木、千葉3県のすべての食品◇宮城、茨城、群馬県産の水産物◇福島県産の大豆◇長野、茨城、新潟県産のきのこ類――を対象に、放射性物質検査証明書の提出を不要とする方針を日本側に伝えた。ただし、福島県産の水産物などに対する規制は当面維持される。