東レは16日、ハンガリー北部ニェルゲシュウイファルにある現地子会社の拠点に、リチウムイオン電池用バッテリーセパレーターフィルム(BSF)工場を新設すると発表した。投資額は1,270億フォリント(3億8,900万ユーロ)。同社にとって欧州初のBSFの生産拠点となる。2021年の稼働、188人の雇用を計画している。これによってグループのBSF生産能力は20%拡大する。
BSFは発火事故の原因となる短絡(ショート)を防ぐ絶縁体で、リチウムイオン電池の主要部材のひとつ。東レによると、BSFの世界需要は携帯型電子機器、定置用蓄電池など民生用途の堅調な拡大に加え、今後はEVの普及拡大による車載用途での急激な増加が見込まれる。
特に欧州においては、環境問題への意識の高まりから、EVなど環境対応車の普及が急速に進むとみられる。東レの主要顧客である韓国のLG化学、サムスンSDIを含め、電池メーカーの進出も活発化している。
東レは海外事業で地産地消を基本戦略としており、これが需要の高まる欧州にBSFの生産拠点を設ける判断につながった。
東レは2014年、米ゾルテックの買収を機にハンガリーに進出した。旧ゾルテック工場では炭素繊維を手がけている。