LSE:ロンドン証取がリフィニティブ買収、成長分野の情報サービス事業を強化

ロンドン証券取引所(LSE)グループは1日、金融情報やリスク管理などのサービスを提供するリフィニティブを買収することで合意したと発表した。負債を含めた買収総額は270億ドル。株式売買の支援など取引所の伝統的な事業の収益が頭打ちとなるなか、リフィニティブの買収を機に膨大なデータを利用した情報サービスを強化し、世界規模での事業拡大を目指す。

リフィニティブは2018年10月にニュース・情報サービスのトムソン・ロイターの金融・リスク部門が分離して発足した情報会社。米投資会社ブラックストーン・グループが株式55%を取得し、残り45%をトムソン・ロイターが保有している。リフィニティブは金融情報端末「アイコン」や執行管理システム「レディ」などを運用し、約190カ国に拠点を置く4万以上の機関に金融市場や企業財務などの情報を提供している。18年の売上高は約62億8,000万ドル。

発表資料によると、LSEは新株を発行し、株式交換でブラックストーンとトムソン・ロイターからリフィニティブの全株式を取得する。買収完了後はリフィニティブの既存株主がLSE株の37%(議決権は30%未満)を握ることになる。競争当局と株主総会の承認を得て、2020年後半の手続き完了を見込む。LSEは買収完了から5年以内にコスト削減などで年3億5,000万ポンドのシナジー効果を実現できるとみている。

LSEでは情報サービス部門が売上高の4割以上を占めており、リフィニティブの買収でさらに強固な基盤を築くことができる。デビッド・シュワイマー最高経営責任者(CEO)は「リフィニティブを通じてデータ管理や分析能力を高め、グローバルな金融市場インフラグループとして成長することができる」と強調した。

ただ、市場では今回の買収に伴うリスクを指摘する声も出ている。LSEはリフィニティブの債務引き受けのためつなぎ融資で資金を調達するほか、競争当局の認可を得るため、一部資産を売却する可能性を示唆している。さらに英国がEUから合意なき離脱を迎えた場合、規制が厳格化され事業環境が悪化する可能性もある。

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