伊コンテ首相続投へ、五つ星と民主党が連立で基本合意

ポピュリズム(大衆迎合主義)政党「五つ星運動」と右派政党「同盟」による連立政権が崩壊したイタリアで8月28日、五つ星と中道左派「民主党」が連立政権を樹立し、コンテ首相を再び首相に擁立することで合意した。これを受け、マッタレッラ大統領は29日、コンテ氏に新内閣発足に向けた組閣を指示した。これで年内の総選挙は回避される見通しとなった。

昨年3月の総選挙を受けて連立を組んだ五つ星と同盟は、財政政策や対中外交などをめぐり対立を繰り返していた。同盟を率いるサルビーニ副首相兼内相が8月9日に総選挙の実施を求めて内閣不信任案を提出したため、政権運営は不可能と判断したコンテ氏は20日、不信任案の採決を待たずに辞表を提出。マッタレッラ氏は総選挙ではなく、新たな連立政権の樹立を優先すべきだとの考えを表明し、各党に連立交渉での合意を促していた。

五つ星は民主党を新たな連立相手とし、協議を続けていた。現地メディアによると、五つ星がコンテ氏の続投を連立の条件としたのに対し、民主党は当初否定的だったが、最終的に受け入れた。ただ、EUに懐疑的な五つ星と、EUとの協調を重視する民主党の溝は深く、民主党は五つ星の公約である議員定数の削減にも難色を示している。政権発足に向けた協議では、主要政策や閣僚人事をめぐる駆け引きが焦点となる。

コンテ氏は1日、伊紙イル・ファット・クオティディアーノとのインタビューで、4日までに五つ星と民主党の協議をまとめ、主要政策や閣僚人事で合意が得られるとの見通しを示した。ただ、五つ星は民主党との連立をめぐり、3日に党員によるインターネット投票を予定している。最終的に両党の交渉が不調に終わった場合、マッタレッラ氏は議会を解散し、総選挙の実施に踏み切る公算が大きい。

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