トヨタ自動車は8月30日、英国のEU離脱に伴う混乱を避けるため、離脱翌日の11月1日に英中部のバーナストン工場での生産を一時停止することを明らかにした。ジョンソン首相が9月9日から10月13日までの議会閉会を決めるなど、「合意なき離脱」が一段と現実味を帯びたことを受けた措置。部品の在庫を増やしたうえで供給状況を見極める方針だが、同様の動きが広がった場合、英国全体の経済活動が縮小する恐れもある。
トヨタは離脱予定日の翌日にあたる11月1日のみバーナストン工場の操業を停止する。現時点では土日を挟んで4日から生産を再開する計画。同工場では新型「カローラ」を生産している。広報担当は「実際にどのような状況になるか分からない。数日分の部品の在庫を確保して混乱に備える」と説明している。
英国がEUとの合意がないまま離脱した場合、大陸欧州との間で関税が復活するほか、通関手続きの煩雑化などで物流が滞る恐れがある。年間150万台超を生産する自動車産業は英最大の輸出産業であり、業界団体は政府に合意なき離脱の回避を繰り返し求めてきた経緯がある。