Evonik:エボニック、中国3Dプリンターメーカーに出資

特殊化学大手の独エボニックは5日、中国のスタートアップ企業メディツールにベンチャーキャピタル部門のエボニック・ベンチャーキャピタルを通じて資本参加したと発表した。エボニック・ベンチャーキャピタルが中国で直接投資を行うのは初めて。メディツールは神経・脊椎外科用のインプラントを製造する3Dプリンターを手がけており、将来性が高いと判断した。出資額と出資比率は明らかにしていない。

メディツールはMRIとCTの画像を読み込んで加工するハード・ソフトシステムを開発している。同システムでは画像から得られたデータをもとにインプラントの3Dモデルを作成。これを3Dプリンターに送付し、実物を作成する。原料にはエボニック製の高性能ポリマー(ポリエーテルエーテルケトン=PEEK)を投入している。

PEEK製のインプラントは現在広く投入されている金属製インプラントに比べ◇患者各人に合わせて成形できることから、大きさや形、場所を再調整するための再手術の必要性が低い◇熱伝導性が低いため、移植を受けた患者が高温や低温にさらされてもインプラントが極端に熱くなったり、冷えるリスクが低い――というメリットがある。生体組織や器官と親和性があり、異物反応や拒絶反応などが生じないのも強みだ。

メディツールは今回、エボニックなどの投資家から数百万ユーロの資金を調達した。これを用いて開発を加速し、中国だけでなく全世界にソリューションを提供していく方針だ。

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