仏が新たなスタートアップ支援策発表、機関投資家から3年で50億ユーロ調達

フランスのマクロン大統領は17日、民間部門から向こう3年間で総額50億ユーロの資金を調達し、国内のスタートアップ企業に投資する方針を発表した。政府が主導するベンチャー企業によるイノベーション推進策の一環。国内の主要な機関投資家から資金を集めてファンドを立ち上げ、企業価値が10億ドルを超える「ユニコーン企業」の育成を目指して成熟段階のスタートアップ企業を重点的に支援する。

マクロン氏は大統領府で開いたイベントで「スタートアップの育成競争で勝利するため、迅速かつ強力に多額の資金を調達しなければならない」と強調。機関投資家から調達する50億ユーロのうち、成長段階のスタートアップ企業に投資を行う国内のベンチャーキャピタル(VC)ファンドに20億ユーロを投じ、残りの30億ユーロは既に上場した企業への投資の充当する計画を明らかにした。

フランスでは2013年に政府主導で始動したスタートアップ支援策「フレンチテック」のもと、起業家、投資家、自治体、研究機関、業界団体などが連携してITエコシステムの構築に取り組んでいる。米調査会社CBインサイツによると、スタートアップ企業の資金調達額は15年の約18億ユーロから18年は36億ユーロに拡大し、ドイツを抑えて英国に次ぐ欧州2位に浮上した。

フレンチテックでは、中小企業に対する融資や保証、出資などを一元管理する公的投資銀行のBpiフランスを通じ、創業期から成熟期まで各ステージのスタートアップ企業に公的資金を提供している。しかし、スタートアップが国際的に成功するために必要な大型の資金需要に対応できていないのが実情で、フランス発のベンチャーが米国で上場するケースも増えている。

政府はこうした問題に対処するため、国内の機関投資家から協力を取りつけて新たなスタートアップ支援策をまとめた。政府高官によると、これまでに保険大手アクサ、同業のCNP、銀行大手ソシエテ・ジェネラル、資産運用会社アムンディ、投資顧問会社ナティクシス・インベストメント・マネージャーズなどが計画に賛同し、出資を確約したという。

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