英ロイズ保険組合は9月30日、2020年に電子取引所を開設すると発表した。収益性を高めて競争力を強化する戦略の一環。取引の自動化により、保険料収入に対する事業費の割合を現在の約40%から最大15ポイント引き下げることが可能と説明している。
ロイズはブローカー(保険契約仲介業者)とアンダーライター(保険引受業者)を会員とする自治組織で、現在は99のシンジケートが実際の保険引受業務を担っている。大規模な自然災害や英国のEU離脱をめぐる不確実性を背景に、ロイズは過去2年間に約30億ポンドの損失を計上しており、収益改善が急務となっている。
ロイズでは一部でオンライン取引が可能になっているものの、大部分は依然として高コストの対面方式で行われている。「ブループリント・ワン」と名付けられた事業計画によると、ロイズは20年12月までに標準的な保険商品と、より複雑なリスクを伴う保険商品を扱う2つの電子取引所を開設し、その後2年かけてより高度なシステムを構築する。取引所の開設に要する「数億ポンド」規模の初期費用は余剰資金や事業の証券化で賄い、新たに会員から資金を集めることはしないという。
事業計画にはこのほか、ハリケーンや地震など自然災害の発生リスクを引き受ける大災害債券(CATボンド)の発行や、ロイズ内に拠点を置かずにシンジケートを組成できる仕組みの導入などが盛り込まれている。