仏が移民受け入れの管理厳格化、専門職に数値目標設定へ

フランス政府は6日、移民受け入れの管理を厳格化するための施策を発表した。欧州全体ではこのところ移民・難民の流入が減少しているものの、フランスでは増加傾向にあるため、専門職の受け入れ人数に数値目標を設けるなどして管理体制を強化する。

フランスでは2018年に難民申請の件数が約12万件に上り、前年と比べて2割以上増加した。フィリップ首相は記者会見で、現在の移民政策は制御を失っていると指摘。「国民に安心感を与えながら、ポピュリズムに屈することがないよう、バランスの取れた政策で再びコントロールを取り戻したい」と強調した。

20項目から成る施策の柱は、「クオータ(割り当て)」と呼ばれる専門職受け入れの数値目標の設定。こうした仕組みを導入するのは初の試みだが、政府は受け入れ人数の「上限」ではなく、実際には国内で必要とされる職種と人数を示したものだと説明している。今回、具体的な職種や人数は公表されておらず、地域ごとの状況などを踏まえて1年ごとに設定するという。

もう1つの柱は、難民申請者に適用される医療保険制度の見直し。現在は難民認定の申請を行うと直ちに保険が適用され、無料で医療サービスを受けることができるが、これを申請3カ月後からの適用に変更する。また、難民申請が却下された場合、現在はその後12カ月にわたり引き続き保険が適用されるが、新制度では6カ月に短縮される。医療保険制度をめぐっては、無料で質の高い医療サービスを受けるため、難民申請する移民がいるとの批判があった。

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