ロシア国営天然ガス企業ガスプロムとウクライナのナフトガスは12月30日、ロシアの天然ガスをウクライナ経由で欧州に供給する輸送契約に署名したと発表した。12月末に期限切れとなる契約を更新する交渉は難航していたが、20日に両国政府と欧州委員会が基本合意。ガスプロムとナフトガスの間で調整が続けられ、失効前日に最終合意に達した。
ロシアとウクライナは長年にわたり天然ガスを巡って対立しており、交渉がまとまらなければ欧州向けガス供給が停止する懸念も出ていた。
発表によると、契約期間は5年で10年間の延長オプション付き。ウクライナのパイプラインを経由する欧州向けガス供給量は2020年が650億立法メートル、21年以降は400億立方メートルとなっており、ウクライナは70億ドル以上の通過料収入を得ることになる。ただ、ロシアは18年にウクライナ経由で870億立方メートルの天然ガスを欧州向けに輸出していた。年内にバルト海を通ってロシアとドイツ北部を結ぶ「ノルドストリーム2」が稼働する予定で、ウクライナ経由の供給量を減らしたいロシアと、長期契約で安定的に通過料収入を確保したいウクライナの間で最終調整が難航していた。
一方、ウクライナは同国東部での政府軍と親ロシア派武装勢力の紛争を背景に、ロシアからのガス輸送契約を巡りガスプロムに対して複数の訴訟を起こしていた。今回、ロシア側が29億ドルの和解金支払いに同意したことを受け、ウクライナは一連の訴訟を取り下げた。