自動車大手の独フォルクスワーゲン(VW)は22日、VWブランド工場で用いるエネルギーのグリーン化を推進すると発表した。外部から調達する再生可能エネルギー電力を増やすほか、自家発電・発熱の電源を石炭から天然ガスに切り替えていく。VWグループは二酸化炭素(CO2)の排出量と吸収量を同量とする「カーボンニュートラル」を2050年までに達成するという目標を打ち出している。
VWブランド工場が外部から調達する電力に占める再生エネの割合は現在70%となっている。同ブランドはこれを年末までに90%へと引き上げる。対象となるのは世界の16工場で、中国の工場は含まれない。
火力発電ではどの電源を使用してもCO2が排出されるが、石炭発電所の排出量は天然ガス発電所を大きく上回る。このため石炭発電に対する風当たりは世界的に強まっており、世界最大の資産運用会社である米ブラックロックは出資先企業宛ての年初の書簡で、気候変動問題への取り組み強化を強く促した。石炭関連会社への投資は縮小していく意向だ。
VWはこうした潮流を背景に自家発電・発熱の脱石炭化を図る。ヴォルフスブルク本社工場では石炭発電施設を22年までに熱電併給型のコンバインドサイクル発電施設へと切り替える。