2020/2/3

EU情報

英がついにEU離脱、47年の歴史に終止符

この記事の要約

英国が1月31日の午後11時(英国時間)にEUを離脱した。

EUで加盟国が離脱するのは初めて。

離脱協定案では英国側が20年7月1日までに要請すれば、移行期間を22年12月末まで延長することが可能となっているものの、英国の離脱関連法にはジョンソン首相の意向を反映し、政府に延長を禁止する条項がある。

英国が1月31日の午後11時(英国時間)にEUを離脱した。EUで加盟国が離脱するのは初めて。EUは1993年の発足から続けてきた拡大路線がつまずき、加盟国が28カ国から27カ国に減少。大きな転機を迎える。

英国は1973年にEUの前身である欧州共同体(EC)に加盟した。同日の離脱により、47年に及ぶEU加盟国としての歴史に終止符を打った。離脱を主導したジョンソン首相は離脱直前に出した国民向けのビデオメッセージで、「多くの人にとって驚嘆すべき希望の瞬間、決して訪れることがないと考えていた瞬間だ」と述べ、新たな時代の幕開けを宣言した。

一方、EU

旗と加盟28カ国の国旗を掲げてきたブリュッセルのEU本部などEU機関では、離脱と同時に英国の国旗「ユニオンジャック」が静かに下げられた。

英議会は離脱の条件を定めた協定の関連法案が1月24日に成立し、離脱の手続きを終えていた。EU側も欧州議会が29日の本会議で協定案を賛成多数で可決。加盟27カ国が30日に承認し、手続きが完了していた。

英政府は移民流入急増などを受けて高まっている国内の反EU勢力の不満を抑えるため、2016年6月にEU離脱の是非を問う国民投票を実施。予想に反して離脱派が僅差で勝利し、EU離脱が決まった。18年11月にはEUと当時の英メイ政権が、離脱の条件を定めた協定案で合意した。

しかし、英国では与党・保守党が過半数を割り込む下院で、英国にとってEUと唯一、地続きでつながる英領北アイルランドとEU加盟国アイルランドの国境管理問題の取り扱いをめぐって離脱協定案への反発が強く、協定案が何度も否決。当初は19年3月末に離脱する予定だったが、延期を迫られた。

転機となったのは、昨年7月のジョンソン政権発足。ジョンソン首相は国境管理問題での新たな提案を行い、これを盛り込んだ新たな離脱協定案でEUと10月に合意した。それでも議会が承認しないため、12月に総選挙に踏み切り、保守党が圧勝して単独で過半数を確保した。これで状況が代わり、離脱関連法案の成立にこぎ着けた。

協定案には離脱直後に双方の関係が激変し、貿易などに大きな影響が及ぶのを避けるため、2020年12月末まで「移行期間」を設ける条項があるため、英国とEUの関係は当面は基本的に変わらない。変わるのは英国がEUの政策決定に関与できず、欧州議会から英国の議員が抜けるといった点だけだ。

今後は将来の関係の構築に向けた交渉に焦点が移る。自由貿易協定(FTA)や安全保障、漁業権など多岐にわたる。とくにFTAでは、英国側はEU単一市場に事実上残留し、引き続き関税なしで貿易できるようになることを目指しているが、EU側は英企業がEUの規制、ルールに縛られないようになると公平な競争環境を維持できないとして、「いいとこ取り」は許さないという姿勢で、交渉の難航が必至だ。

漁業権をめぐっても、EUの共通漁業政策から離脱する英国が、自国水域でのEU漁船の操業権の制限を持ち出すと目されており、激しく対立しそうだ。

EUと英国は移行期間中の同交渉妥結を目指す。EUの欧州委員会は2月3日にも交渉の指針を発表する見通しだ。

これまでにEUが日本などと進めたFTA交渉は合意まで5年以上を要しただけに、FTAを含めた全交渉を20年末までの11カ月でまとめるのは厳しい情勢だ。離脱協定案では英国側が20年7月1日までに要請すれば、移行期間を22年12月末まで延長することが可能となっているものの、英国の離脱関連法にはジョンソン首相の意向を反映し、政府に延長を禁止する条項がある。このため時間切れとなり、新たな関係の取り決めがないまま完全離脱する事態が懸念されている。