クレディ・スイスのCEOが辞任、元幹部のライバル内偵問題で

スイス金融大手クレディ・スイスは7日、ティージャン・ティアム最高経営責任者(CEO)が14日付で辞任すると発表した。同行では昨年、ライバル行に移籍した元幹部への内偵問題が発覚。経営陣への不信感が高まっていた。スイス部門トップのトマス・ゴットシュタイン氏が後任のCEOに就任する。

クレディ・スイスでは昨年9月、ウェルスマネジメント部門の元責任者イクバル・カーン氏を内偵するという不祥事が発覚した。ライバルのUBSに移籍した同氏が他の行員を引き抜く恐れがあるとして、探偵を雇って行動を監視したもので、内偵を指示したピエールオリビエ・ブエ前最高執行責任者(COO)は10月に引責辞任した。その後、元人事部門責任者のペーター・ゲルケ氏に対する内偵も明らかになり、スイス連邦金融市場監督機構(FINMA)が独自調査を開始。ティアム氏への辞任圧力が強まっていた。

ティアム氏は「内偵問題が行内を混乱させ、不安や苦痛を引き起こしたことは間違いない。このような問題は起きるべきではなかった」と表明。そのうえで、内偵の事実については「何も知らなかった」と従来の主張を繰り返した。

一方、クレディ・スイスの取締役会はウルス・ローナー会長について、任期満了となる21年4月までの続投を支持した。事情に詳しい関係者によると、ハリス・アソシエイツなど一部の有力株主はティアム氏への支持を表明し、ローナー氏に対して自ら辞任するか、ティアム氏を支えるよう求めていた。しかし、ローナー氏は水面下でカタール政府系ファンドをはじめとする株主の支持を取りつけたとされる。結果的にティアム氏だけに責任を負わせた形になったことで、今後はローナー氏の辞任を求める声が高まる可能性がある。

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